汚れに応じた「エコ洗剤」の使い方

〔よく似た白い粉ですが、洗浄剤としての用途は異なります。〕

重曹、セスキ炭酸ソーダ、過炭酸ナトリウム、クエン酸などのエコ洗剤は、ドラッグストアや食品スーパーで購入できる身近にあるエコ洗剤ですが、「使い方が分からない?」というご質問やご相談を受けます。

エコ洗剤の特徴として、除菌・消臭力があるので、汚れとともに不衛生な雑菌や嫌なニオイも除去できます。また、泡立たずに汚れを落とし、水で簡単に洗い流すことができ、素材に洗浄成分や合成洗剤のような余分なニオイを付着することもないので、デリケート方にも安心して使えます。ですが、使い方を誤ると、充分な効果を得られないため、購入したもののそのまま放置されてしまいます。

そこで、エコ洗剤は、どのような汚れに使えば最適かをご紹介いたします。

アルカリ洗浄剤:油汚れ、たんぱく質汚れ、皮脂汚れなど

日常の汚れの9割を占める油汚れやタンパク質汚れには、アルカリ性の重曹、セスキ炭酸ソーダ、過炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムを使えば、高い洗浄力が発揮されます。それぞれの特徴は、次のとおりです。

  重曹 セスキ炭酸ソーダ 過炭酸ナトリウム 炭酸ナトリウム
アルカリ濃度(PH)※1 8.2 9.8 10.5 11.2
水溶性 溶けにくい 溶けやすい 温度により溶けにくい 溶けやすい
油汚れ 〇※2 〇※2
焦げ落とし 〇※3
消臭※4
溶解度※5 9.6g 16g 22g 30g
価格※6 700円 800円 900円

※1 アルカリ濃度は、重曹のみ5%水溶液で、その他は1%水溶液の値です。
※2 65℃以上のお湯に溶かすと、炭酸ナトリウムに変化するので油汚れが良く落ちます。
※3 重曹特有の研磨作用でコゲを落とせます。
※4 生ごみ、魚、汗のニオイなどの消臭に効果的です。
※5  25℃の100ccの水に対する溶解度
※6 おそうじワークのオンラインショップの1kgあたりの参考価格です。

例えば、アルカリ濃度のPH値を1つ変化させるには、10倍希釈が必要なので、重曹と炭酸ナトリウムのPH値が3つの差(=11.2-8.2)は、1,000倍(=10×10×10)の洗浄パワーの差があることになります。そのため、汚れに応じてアルカリ洗浄剤を選択することが大切です。

なお、市販品で入手しにくい炭酸ナトリウムですが、重曹やセスキ炭酸ソーダを65℃以上のお湯に溶かせば、炭酸ナトリウムに変化し、過炭酸ナトリウムは40℃以上のお湯で炭酸ナトリウムと過酸化水素(オキシドール)に分離するので、炭酸ナトリウムの代用として使えます。

重曹(炭酸水素ナトリウム)

カレー鍋、油料理をした調理器具や食器、シンクに付いた汚れ、ガスコンロの五徳

重曹は、お掃除だけでなく、野菜のアク抜きなど調理で使用し、胃薬や浴用入浴剤の主成分でもあります。弱アルカリ性で、肌に優しく素手で取り扱うこともできるので、油汚れや皮脂汚れなどを手軽に落とせます。

<お勧め1>重曹石けん
アルカリ度が低いので、単体で使うよりも台所のせっけん(食器用洗剤)と混ぜて重曹石けんにすると、効果的に油脂汚れを落とします。

<お勧め2>クレンザー
重曹は、水に溶けにくい顆粒状なので、そのまま粒子を活かしてクレンザーとして使用することもでき、コンロの五徳などの焦げ落としに使えます。

<お勧め3>ふきんの煮洗い(漂白・除菌)
お鍋に水1Lに対して大さじ1杯の重曹を入れ、15分から20分程度コトコト煮て洗います。

※重曹は弱アルカリ性(PH8.2)ですが、65℃以上のお湯で加熱すると炭酸ソーダに変化して強アルカリ性(PH11.2)になり、1,000倍のアルカリパワーで強力に油汚れを落とします。

セスキ炭酸ソーダ(セスキ炭酸ナトリウム)

床や壁、ドアやドアノブ、浴室の皮脂汚れ、キッチンの油汚れ、食べこぼし

セスキ炭酸ソーダは、重曹(炭酸水素ナトリウム)と炭酸ナトリウムの中間的な性質をもつ複塩で、重曹よりもアルカリ濃度が高いため、油汚れに対する洗浄力は高めです。

油汚れや皮脂汚れ落としに効果を発揮する「セスキ水(アルカリウォッシュ)」は、セスキ炭酸ソーダを水に溶かすだけで簡単に作れます。スプレーボトルのキャニオンスプレーに溶かして常備しておくと、いつでも「シュシュッ」とスプレーして簡単に拭き掃除ができるので、おすすめです。

また、セスキ炭酸ソーダは、アルカリ濃度が高いため、カビや雑菌のたんぱく質を分解して働きを穏やかにできる除菌効果があります。セスキ水で拭き取った後は、雑菌が繁殖しにくい環境になるので、清潔が長続きするので、おすすめです。

セスキ水(アルカリウォッシュ)の作り方
基本:水500ml+セスキ炭酸ソーダ5㏄(小さじ1杯)
※洗浄力を高めたセスキ水の作り方は、「オリジナル・セスキ水の作り方」をご覧ください。

<お勧め1>セスキ水(アルカリウォッシュ)
キャニオンスプレーに入れたセスキ水をテーブル、電子レンジや冷蔵庫の庫内、キッチンパネルなど、油や手垢汚れにスプレーしてマイクロファイバータオルで拭き取れります。

<お勧め2>予備洗浄
洗濯物の汗、皮脂、血液などのたんぱく質汚れ部分にセスキ水をスプレーしてから、通常通り洗濯するだけで驚くほど綺麗になります。

<お勧め3>除菌・消臭
就寝前にキッチン、お風呂、洗面台の排水口の周りにセスキ水をスプレーして放置するだけで、雑菌の繁殖を抑えて悪臭を予防できます。

過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)

キッチンの油汚れ、排水口のカビ汚れ、茶渋、まな板の色移り、ふきんの漂白

過炭酸ナトリウムは、強アルカリ性の炭酸ナトリウムに過酸化水素(オキシドール)を結合させてできたものです。炭酸ナトリウムは、石鹸の材料でもあり、自然界に存在する無機質で、過酸化水素は身体や口腔内の消毒にも使用されています。

また、過炭酸ナトリウムは、酸素系漂白剤(※)の主成分で、漂白・除菌・脱臭に効果を発揮します。40℃~50℃のお湯に溶かすと、過酸化水素の分解が促進され、活性酸素の発泡作用により、本来の高い洗浄効果を発揮します。
※酸素系漂白剤で有名なオキシクリーンには、過炭酸ナトリウムに炭酸ナトリウムが添加され、米国向けはさらに合成洗剤が配合されています。

<お勧め1>洗濯
毎日の洗濯の際に、いつもの洗剤に大さじ1杯の過炭酸ナトリウムを加えて洗濯をすると、洗浄力がアップし、汚れ落ちが良くなります。同時に衣類の黄ばみも漂白し、除菌・消臭力で洗濯物のカビ臭いニオイを防ぎ、洗濯機の洗濯槽や排水管に付着するカビ予防にもなります。

<お勧め2>排水口の掃除(除菌・消臭+排水管の詰まり予防)
お風呂やキッチンの排水口の洗浄では、予め十分なお湯を流し込んで排水口を予熱した後、過炭酸ナトリウムを約30g(大さじ2杯)を300ccのお湯に溶かして、排水口の内側に触れるように流し入れ、2時間~ひと晩ほど放置したのち、たくさんのお湯で一気に洗い流して完了です。
詳細は、ブログ「お風呂の排水口のお掃除方法」で紹介しています。

酸性洗浄剤:水垢など

クエン酸

酸性濃度(PH)※1 水溶性 消臭※2 水あか汚れ 溶解度※3 価格※4
2.1 溶けやすい 133g 1,200円

※1 酸性濃度は、1%水溶液の値です。
※2 トイレのアンモニア臭、タバコのニオイなどの消臭に効果的です。
※3  20℃の100ccの水に対する溶解度
※4 おそうじワークのオンラインショップの1kgあたりの参考価格です。

クエン酸は、お風呂や洗面台などで発生する水道水のミネラル成分(カルシウム、マグネシウム)が硬化した水垢、トイレの尿石などのアルカリ汚れを酸の力で中和し、柔らかくして落とします。

水周りや電気ポット、食器洗い乾燥機の水垢落とし、トイレの消臭、洗濯物の柔軟剤・脱臭

クエン酸は、酢やレモンなどの柑橘類に含まれる酸味成分です。水回りや食器洗い乾燥機や電気ポットの白く固まった水垢を除去するのに効果を発揮します。

たばこ、トイレのアンモニア臭の消臭や、過炭酸ナトリウムやセスキ炭酸ソーダで洗濯した後の柔軟剤として使えば、脱臭効果もあり柔らかくふんわりと仕上がります。

<お勧め1>酸性クリーナー
500mlのお水にクエン酸小さじ1杯とハッカ油5~10滴を混ぜれば酸性クリーナの出来上がり。水回りの白く固まった水あかや、トイレの尿や尿石のアルカリ汚れの除去と消臭に効果抜群です。スプレーボトルに詰めれば、いつでもスプレーしながら拭き掃除ができます。

<お勧め2>電気ポット・ケトルの清掃
電気ポット、ケトルを満水にして、水1ℓに対して大さじ1杯(15ℊ)のクエン酸を入れ、蓋をして沸騰させた後、そのまま3時間程度保温したのち、お湯を捨ててスポンジで水垢を落とします。落ちにくい場合は、重曹のクレンザー機能を使ってこすり落としてください。

<お勧め3>洗濯物の柔軟剤
すすぎの時に、小さじ1杯のクエン酸を投入すれば、洗濯物がふんわりと柔らかくなり、洗濯物のアンモニア臭を消臭して衛生的に仕上がります。

まとめ

アルカリ洗浄剤、酸性洗浄剤は、界面活性剤を含まないため、泡立たないのですすぎも簡単で、お掃除の時間短縮や水道水の節約にも繋がります。

汚れに応じたエコ洗剤を適切に選択すれば、驚きの洗浄力が得られるはずです。また、いずれのアルカリ洗浄剤、酸性洗浄剤も冷水より温水で使用すると洗浄効果がより一層高まります!

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